終身雇用制や年功序列など、日本人が長らく抱いてきた仕事観や人生観は徐々に変化。今では30代・40代・50代と早い段階で会社を辞め、好きなことをしながら最小限の労働と貯蓄で暮らしていく「セミリタイア」に人気が集まりつつあります。
とはいえ、先の長い人生を最小限の労働だけで暮らしていくとなると、先立つものが無ければセミリタイアは出来ませんよね。
そこで本記事では、30代/40代/50代の年代別にセミリタイアに必要な資産額をシミュレーション。セミリタイアに向けた資産形成の方法や失敗を防ぐポイント、セミリタイア先駆者のブログなども併せてご紹介します。
セミリタイアの基本知識
具体的な内容に入る前に、まずはセミリタイアの基本について軽くおさらいしておきましょう。そもそもここで言う「リタイア」とは仕事を引退することを指しますが、リタイア後の過ごし方などによって、いくつかのタイプに分かれます。
1.早期退職制度
90年代後半より多くの大企業で導入された「早期退職制度」。どちらかといえば企業側の都合で作られた制度で、人件費が高くてパフォーマンスの低い中高年社員の入れ替えや企業の業績悪化により自主的な退職を募るのが主でした。
一方最近では、十分な資産を準備した上で、労働者自らが退職を望む形でこの制度を利用する場合も増えてきました。
2.アーリーリタイア
「早期リタイア」とも呼びますが、一般的な退職時期を待たずに早い段階で会社員を引退することを「アーリーリタイア」と言います。アーリー(Early)は時期や時間が早いことを指すので、書いて字のごとくで分かりやすいですね。
3.セミリタイア
三つめは冒頭でもご紹介した「セミリタイア」。ちなみに英語で「semiretired」と言うと非常勤を意味しますが、日本では違う使われ方をしています。
セミリタイアは、リタイア後もアルバイトなどの最小限の仕事で生活費を補いつつ、リタイアで得た自由な時間を楽しむというライフスタイル。リタイア後に一切仕事をしない「完全リタイア」とは違い、全くの無収入になるわけではないので、リタイアまでのハードルを比較的低く抑えることができます。
その他にも、夏の数カ月の間だけなど期間限定でリタイアする「ミニリタイア」があったりと、リタイアの種類も多様化しています。

セミリタイアが増えている訳
リタイアの種類の中でも、今30歳・40歳などの若い世代から特に注目を集めているのが、本ブログのテーマでもある「セミリタイア」です。
企業社会の在り方は、主流であった年功序列制から、勤務年数や単なる経験ではなく、いかにパフォーマンスを高く出せるかに焦点が当たるようになってきました。
若い内から高い給料を稼ぎ、早くに資産形成を終えてセミリタイアする人が出てくる一方で、激化する競争の中で会社生活に強いストレスを感じ、精神的自由を求めてリタイアする方も多くなっているようです。
セミリタイアファンを増やす要因となったもう一つの背景はSNSの普及です。リタイア後の自由な暮らしや多様な仕事観をSNSを通じてシェアする人が増え、そうした人がインフルエンサーとなり、自分らしい生き方を模索する人が増えてきました。
- 組織に縛られない自由な生き方
- 自分の時間を楽しむライフスタイル
- 利害関係と無縁のコミュニティ作り
など、一生に一度の人生を自分らしく生きたいと考えた時、一定の収入を保ちつつ早い段階でリタイアできる「セミリタイア」は絶好のアイディアだったのでしょう。
セミリタイアの計画と準備
とはいえ無計画に会社を飛び出しても、求めるような自由な生活を続けることは出来ないでしょう。安定的なセミリタイア生活を実現するには、以下3つの準備ステップを元に綿密なプランを描くことが大切です。
- セミリタイアの目標と計画を立てる
- セミリタイアに必要な貯金額を知る
- セミリタイアに向け資産を作る
1.セミリタイアを目指す理由と希望の暮らしを明確にする
セミリタイアの目的は「会社から解放されたいから」だけではなく、「会社から解放されて、〇〇な場所で、〇〇をして暮らしたいから」など詳細に描いておく必要があります。
漠然とした目的だけでは、セミリタイアに必要な資金を正確に割り出すことが難しくなるほか、「こんなはずではなかった」などの失敗に繋がる可能性が高くなります。
実際このステップを曖昧にセミリタイアを進めてしまった方の中には、生活に活気を失い鬱になってしまったり、資金難で生活が出来なくなったりと、思い描く暮らしとは違う結果になってしまった方も少なくありません。
このような失敗を防ぐためには、自分がセミリタイアで何を実現したいのか、どんなライフスタイルで、周りの人との関わり方はどうしたいのかなど、具体的過ぎるくらい詳細にビジョンを描いておくのが良いでしょう。
2.セミリタイアに必要な貯金額を知る
セミリタイア後のライフビジョンがクリアになれば、次にリタイア後に必要な生活費を弾き出します。
リタイア後に必要となる資産額は、50代<40代<30代とリタイア年齢が若くなる程多く必要になります。配偶者や家族の人数、維持したい生活水準、さらにはリタイア後のアルバイト・副業収入がいくら望めるかによっても変わってきます。
3.資産構築のプランを立てて実行
セミリタイアまでに蓄えておくべき貯蓄額を把握できたら、具体的に資産を増やして行くためのプランニングを実行しましょう。資産形成では、マイルストーン(中間目標)を決めて置き、途中途中で計画と実績にギャップが出ていないかの確認と計画の見直しを行います。
併せて、リタイア後は何の仕事をどの程度するのかも予めプラニングしておきます。もちろん1つに絞るのではなく、保険としていくつか選択肢を用意しておきましょう。
これら3つがセミリタイアのための準備ステップ。その中でも特に重要な必要資金の試算について、以下詳細に見て行きましょう。
30代/40代/50代のセミリタイアに必要な貯金額
既出の通り、セミリタイアに必要な資金は、リタイア年齢や求める生活水準、独身か既婚かなどにより異なるほか、男性か女性かなどによっても違いが出てくる場合があります。
まずは30代/40代/50代の年代別に、セミリタイア後にどのくらいの生活費が必要になるのか具体的にイメージしてみましょう。
セミリタイア後の一生分の生活費はいくら
総務省統計局の家計調査によると、全国の平均的な月の生活費は以下の通りです。
- 単身世帯で163,781円
- 2人世帯で256,632円
- 3人世帯で303,763円
- 4人世帯だと338,650円
(参考:2019年家計調査 / 家計収支編)
また厚生労働省によると、2019年度の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳。今回は男女の平均寿命の間を取って、セミリタイア後から85歳と仮定した寿命までにかかる生活費を試算してみます。
30歳でセミリタイアする場合
一人世帯 | 約16.5万円 x 12か月 x (85歳-30歳)=約1億890万円 |
---|---|
二人世帯 | 約26万円 x 12か月 x (85歳-30歳)=約1億7160万円 |
三人以上の世帯 | 場合により大きく異なる(※下記説明参照) |
40歳でセミリタイアする場合
一人世帯 | 約16.5万円 x 12か月 x (85歳-40歳)=約8910万円 |
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二人世帯 | 約26万円 x 12か月 x (85歳-40歳)=約1億4040万円 |
三人以上の世帯 | ※場合により大きく異なる(※下記説明参照) |
50歳でセミリタイアする場合
一人世帯 | 約16.5万円 x 12か月 x (85歳-30歳)=約6930万円 |
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二人世帯 | 約26万円 x 12か月 x (85歳-30歳)=約1億920万円 |
三人以上の世帯 | ※場合により大きく異なる(※下記説明参照) |
三人以上の世帯(夫婦とお子さん、夫婦とご両親など)の場合は、ご家庭の事情により同居期間が様々ですので、今回は計算から省きます。家族構成や状況に合わせて、三人・四人で暮らす(扶養する)期間を基に計算をしてみてください。
さて、セミリタイア後に掛かる一生分の生活費をシミュレーションしてみましたがいかがでしょうか。一人世帯でも30歳の若さでリタイアする場合は、1億円以上掛かることが見て取れます。二人世帯の場合はどの年代でも億単位の生活費が必要になる試算になりましたね。
平均的な生活費とはいえ、何十年分ともなると目を覆いたくなるような金額ですよね。しかし、セミリタイアは退職後も最低限の労働を続けて行くわけですから、上記全てをリタイアまでに貯金しておく必要はありません。
セミリタイアまでに貯めておくべき資産額
そこで今度は、退職後に一定の収入があることを前提に、セミリタイアまでに貯めておくべき貯金額をパターン別にシミュレーションしてみましょう。
※先ほど同様、総務省報告の平均的な月の生活費をもとに、85歳を寿命として仮定して試算します。
30歳でセミリタイアする場合
計算式 | (月の生活費-月の収入)×12か月×(85歳-30歳) |
---|
こちらの計算式に当てはめてると、30歳のリタイアまでに貯めておくべき貯金額は以下の通り。
世帯人数 | ※1 リタイア後の月収 | |||
---|---|---|---|---|
月0万 | 月5万 | 月10万 | 月15万 | |
一人世帯 | 1億890万円 | 7590万円 | 4290万円 | 990万円 |
夫婦二人世帯 | 1億7160万円 | 1億3860万 | 1億560万円 | 7260万円 |
※2 三人世帯 | 1億9912万円 | 1億6612万 | 1億3312万円 | 1億12万円 |
※1 表内の月収は税金や社会保険料を支払った後に手元に残った額とします。
※2 三人世帯では、夫婦と子一人(現在5歳で22歳まで扶養すると仮定)を例に計算しています。
参考までに、子供一人当たりの子育て費用は年齢別に以下のようになっています。
(参考:フコク生命学資保険 みらいのつばさ「しっかり知ろう!学資保険豆知識」)
0歳 | 約93万円 | 12歳 | 約127万円 |
1歳 | 約88万円 | 13歳 | 約153万円 |
2歳 | 約94万円 | 14歳 | 約153万円 |
3歳 | 約105万円 | 15歳 | 約161万円 |
4歳 | 約120万円 | 16歳 | 約177万円 |
5歳 | 約116万円 | 17歳 | 約177万円 |
6歳 | 約122万円 | 18歳 | 約177万円 |
7歳 | 約111万円 | 19歳 | 約205万円 |
8歳 | 約106万円 | 20歳 | 約205万円 |
9歳 | 約113万円 | 21歳 | 約205万円 |
10歳 | 約115万円 | 22歳 | 約205万円 |
11歳 | 約124万円 | 合計:3252万 |
※千の位以下四捨五入
※中学・高校・大学と国公立で自宅から通学
お子さんを含む三人世帯の場合は、夫婦二人の必要貯金額に子育て費用を足すことで凡その金額を割り出すことが出来ます。
40歳でセミリタイアする場合
計算式 | (月の平均的な生活費-見込み月収)×12か月×(85歳-40歳) |
---|
こちらの式に当てはめると、40歳のセミリタイアまでに準備すべき貯金額は以下のようになります。子供を含む三人以上の世帯の場合は、上記子育て費用をご参照ください。
世帯人数 | ※1 リタイア後の月収 | |||
---|---|---|---|---|
無収入 | 月5万 | 月10万 | 月15万 | |
独身世帯 | 8910万円 | 6210万円 | 3510万円 | 810万円 |
夫婦二人世帯 | 1億4040万円 | 1億1340万円 | 8640万円 | 5940万円 |
※1 表内の月収は税金や社会保険料を支払った後に手元に残った額とします。
50歳でセミリタイアする場合
計算式 | (月の生活費-見込み月収)×12か月×(85歳-50歳) |
---|
こちらの式に当てはめると、50歳のセミリタイアまでに準備すべき貯金額は以下のようになります。子どもを含む三人以上の世帯の場合は、上記子育て費用をご参照ください。
世帯人数 | ※1 リタイア後の月収 | |||
---|---|---|---|---|
無収入 | 月5万 | 月10万 | 月15万 | |
独身世帯 | 6930万円 | 4830万円 | 2730万円 | 630万円 |
夫婦二人世帯 | 1億920万円 | 8820万円 | 6720万円 | 4620万円 |
※1 表内の月収は税金や社会保険料を支払った後に手元に残った額とします。
上記の例では、労働収入や投資利益等で月10万円ほどの収入を確保できる場合、独身であれば3000万円~5000万円程の準備金でセミリタイアが出来る計算になります。
一方、配偶者や家族がいる方が30代・40代の早い段階でセミリタイアする場合、必要資金が1億近い額になるなど、容易な道ではないでしょう。
現在のあなたの貯金額と照らし合わせ、あまりにも非現実的な金額だという場合は、目標のリタイア年齢を上げる、又はリタイア後の生活費を切り詰めるなどの調整が必要でしょう。
また、表中の月収は所得税や住民税などの税金、年金や健康保険料などの社会保険料を引いたあと手元に残る額を記載しています。税金や社会保険料額は収入額や収入の種類、非課税や支払い免除の条件に該当するかなどによって変わりますので、詳細について知りたい方は以下の記事をご参照ください。

セミリタイア資金を貯めるには資産運用を活用
生前贈与や、ビジネスや投資でひと財産作ったなど、すでに必要な資産が揃っている方もいると思いますが、一般の会社員の方にとってはかなり無謀な額にも思えるでしょう。
ただし、ここで早くも諦めてしまうのはもったいないです。給与の貯金だけでは貯められない金額でも、投資を活用することで効率よく資産形成を進めことも可能なのです。
実際にセミリタイアを叶えた方の多くも、給与を蓄えるだけでなく、その資金を投資に回し効率的に資産運用で増やしています。
<例えば、10年後のセミリタイアまで毎月20万円積み立てる場合>
セミリタイア時には2400万円が貯まる計算になりますが、これを利回り3%の複利で運用していれば2800万円、5%で複利運用なら3100万円になります。
資産運用の方法は株式投資・不動産投資・投資信託など様々ですが、リスクを抑えた無理のない運用方法を選べば、初心者の方でも比較的安全に資産を増やして行けます。
以下の記事では資産運用が初めてという方に向けて、資産運用の基礎や失敗しないための運用のポイント、おすすめの運用方法などをご紹介していますので、これから本格的に資産形成を始めたいという方は是非目を通してみてくださいね。

セミリタイア後の生活と収入の確保
念願のセミリタイアを叶えた後は、趣味に没頭したり、気ままに旅行をしてみたり、会社勤めの間にはできなかったことを楽しむ時間です。
会社に行かなくても良いのですから、今住んでいる場所に拘る必要もありません。地方に行けば物価も比較的下がりますし、何より家賃がかなり安く抑えられます。同様に、海外に抵抗がないのであれば、物価の安い国に移住したり、一時的に滞在して生活するのも悪くないでしょう。

また、セミリタイアでは退職後も一定の収入を得ることが前提ですから、アルバイトやフリーランスでの仕事、資産運用などで収入を得られる体制を整えていきましょう。
フリーランスで収入を得る
フリーランスの受託業務は実に多種多様。すでに業務委託のコネクションがある場合でなければ、ランサーズやクラウドワークスといったクラウドソーシングサービスに登録し業務を受注するのが一般的です。
基本的にスキルを求められる業務は高単価、逆に誰でもできるような作業は単価も低めで、高単価の代表格はIT系の支援業務などが挙げられます。システム・アプリ開発・ホームページ制作・ECサイト運営など様々で、常に売り手市場が続いています。
専門スキルを必要としない業務では、ライティングやデータ入力といった仕事もあります。単価は低めで競争も激しいですが、案件数も多いので比較的簡単に仕事を見つけられます。
アルバイトで労働収入を得る
アルバイトの仕事も事務系からサービス系、力仕事のガテン系など様々です。
折角セミリタイアしたのですから、「やってみたかった」趣味と実益を兼ねる仕事にチャレンジするのもおすすめです。例えば、コーヒーが好きなら喫茶店の定員、話を聞いたり相談に乗ったりするのが好きなら人生カウンセラー、バイクが好きならバイクショップやパーツショップなど、好きな仕事に挑戦出来るのもセミリタイアならででしょう。
ただし、セミリタイアと同時にやってみたかった仕事が見つかるとも限りませんので、事前にしっかり下調べして、必要ながらば予めコネクションを作っておけると良いですね。

資産運用で不労所得を得る
一方で、フリーランスやアルバイト収入だけで生活費を補おうとすると、長時間労働に陥りかねず自由で気ままなセミリタイア生活とは真逆の生活にもなりかねません。出来ればセミリタイア後にも、資産運用による不労所得を得られるようにするのがおすすめです。
欧米で支持者が増えているFIREムーブメントでも、資産を年利4%で運用し生活費をまかなう「4%ル―ル」を提唱しています。
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略で、早期退職と経済的自立の両立を目指すムーブメントです。
FIREの4%ルールでは、1年の生活費の25倍にあたる資金を準備し、リタイア後はその資金を年利4%で運用すれば、貯金を切り崩すことなく不労所得だけで生活出来るという考え方です。
投資には調子の良し悪しが伴いますので、あくまで一つのアイディアとして理解しておくのが良いと思いますが、それでも出来る限り労働の時間を抑えたいセミリタイア生活においては、資産運用を活用という手はないでしょう。
上でもご紹介しましたが、以下の記事では初心者向けの投資方法や期待利回り・運用のコツなどを詳しくご紹介しています。セミリタイア後の資産運用についてもご参考に頂けると思いますので、是非ご覧になってみてださい。

セミリタイアで失敗しないためのポイント
さて、セミリタイアには緻密な計画が欠かせないとお話しましたが、どれだけ準備を徹底しても「まさか」の事態が起こりないとは限りません。
病気や災害に見舞われたり、平均寿命よりもずっと長生きする場合もあるでしょう。ここではセミリタイアで陥りやすい落とし穴と対策について見ておきましょう。
1.セミリタイア後の生活費を安く見積りすぎる
既にセミリタイアを叶えた方の中には、月5万円~10万円ほどに支出を抑えた超ミニマルライフとも言える生活を送っていらっしゃる方もいます。
個人の生活スタイルや望む生活水準によっては、極端に切り詰めた生活ができない訳ではありませんが、極端に資金の余裕を欠いた生活では、些細な出来事でも失敗の原因になりかねません。
冒頭に取り上げた生活費の試算にせよ、ベースとなるのはあくまで全国平均。生活水準や家族の人数により必要額に違いが出るのはもちろんのこと、あなたがセミリタイア後に何をしたいかによっても差が出てくるでしょう。
希望する生活レベルやセミリタイア後にしたい事、万が一の事態への備えなども考慮して、全国平均の生活費にプラスアルファを見ておくのがおすすめです。
2.社会との繋がりが無くなり孤独になる
望んでいたはずの自由を手に入れたのに、属する居場所がないことに対する孤独感から精神的に不安定になったり、何事にも無気力になってしまったりという事も少なくありません。
かつては決して好きとは言えなかった同僚も、「あの人最近どうしているかな?」など時を経て懐かしく思うことはありませんか?
一度サラリーマンや会社員になれば、その後の人間関係やコミュニティーは知らず知らずのうちに会社中心になりがちです。億劫でたまらなかった会社生活や人間関係も、実は自分の居場所になっていたという場合もあるのでしょう。
だからこそセミリタイア後には、一定の社会とのつながりを保ちましょう。趣味で仲間を増やしたり、アルバイトに出たり、ボランティアに参加したりと、あなたの今をシェア出来る人間関係を築けると良いですね。
3.予定していた収入が入らなくなる
セミリタイア後は、資産運用での不良所得を主な収入源として生活する場合も多いです。
しかし、資産運用や投資にはリスクがつきものですので、毎年必ず安定してリターンが得られるとは限りません。場合によっては、ほとんどリターンが出ない年や、マイナスという年もあるでしょう。
こうした資産運用の不確実性と上手に付き合い、結果的に利益を上げて行くには、リスクヘッジを掛けながら長期目線で無理のない運用を心がけることが必要です。特にデイトレードやFXといった投機性の高い投資では、一度のミスで取り返しのつかない損失を招きかねません。
また、投資による不労所得の他にも、アルバイトなどで確実な収入を確保することで、資産運用が不調な場合にもマイナス分を補うことも出来るでしょう。
4.予期せぬ出費がふりかかる
両親が寝たきりや痴呆になってしまい施設に入らなければならない。突然の病気でアルバイトが出来なくなった。お子さんが定職に就かずいつまでも家にいるなど。ライフプランに狂いが生じるかもしれない可能性を上げるときりがありません。
セミリタイア後に趣味を始めたところ大はまりして、予想外の出費が出てしまうなんてこともあるかもしれませんね。
現役で仕事をしていれば何とか切り抜けられることも、セミリタイアで収入が限られているとリカバリーするのは容易ではありません。
だからこそ資金計画も、不測の事態に備えておくべきなのです。特に病気は誰出にも予想出来ませんので、いざという時に備えて最低限の医療保険に入ってなども検討しておくと良いでしょう。
30代/40代/50代のセミリタイアに役立つブログ・書籍
さて、ここまで30代/40代/50代のセミリタイアに必要な貯金額や、資産形成の方法、リタイア後の暮らし方などにお話ししましたが、実際同年代でセミリタイアした人達はどんな暮らしをしているのか気になりますよね。
30代でセミリタイアしたブログ
まずご紹介するのは、『不良所得でセミリタイアを目指す30代のブログ』です。
URL:https://semiritaiafx.com/archives/16168153.htm
ブログ管理人の鈴さんは32歳でセミリタイアを果たしました。2015年から投資を始め現在までFXで500万円を溶かしたりとう紆余曲折ありながらも、現在の資産は30代半ばにしてすでに1億を超えています。
現在は資産運用とブログ収入で生活をされていて、日々の収益公開や投資状況なども詳しく記載されています。
40代でセミリタイアしたブログ
次にご紹介するのは40代でセミリタイアを果たしたKotaroさんのブログ『SOUTAI 40SOUTAi 40』です。
URL:http://soutai40.com/
Kotaroさんは40代前半で会社を早期退職し、資産運用とブログや本の執筆などで暮らしています。ブログ内では早期退職に至る経緯や現在の金融資産のポートフォリオ、お金に関わる様々な情報を発信されています。
またセミリタイアに関する書籍も複数執筆されていて、その中の一つである『40代で早期退職してセミリタイアとお金について考えた』で、「資産ができたからセミリタイアしたわけではない」と語るKotaroの仕事観・人生観には、そっくりマネできるわけではないですが、強い共感を覚えます。

50代でセミリタイアしたブログ
最後に紹介するのは『資産90万から2億円達成。普通のサラリーマンの「アーリーリタイア」への独り言』。
URL:https://ameblo.jp/hm3102/
管理人の「DokGen」さんは50代で奥さんとお子さんが3人います。9.11事件の年に90万円から資産運用をスタート、今では2億円の資産を築き、念願のセミリタイア目前です。「FIREに必要な3K」「ダイヤモンドザイのアーリーリタイア」「アベショックでマイナス200万円」など、セミリタイアや投資について興味深いブログを綴っています。
セミリタイアしたか方のブログを拝見していると、本当にセミリタイアには決まった形というものはないんだなと改めて思います。資産ありきではなく、まずはご自身が望む人生に耳を澄ませてみる。具体的な資産形成はそれからというのが本来あるべき姿でしょう。
30代/40代/50代のセミリタイアまとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
本記事では、30代/40代/50代のセミリタイアにおける資産条件や資産形成方法、セミリタイアの失敗を防ぐポイントや先駆者たちのブログなど、まとめてご紹介してきました。
セミリタイアする年齢によって必要資産や注意点は異なるものの、「セミリタイアは何歳になってから」という決まりはありません。
自らの人生観に基づき、かつ現実的な資金プランも見据えつつ、リタイアする目標年齢を決めて実行可能な計画を練りましょう。あとは実行あるのみです!